2007 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本における教育「規範」の形成と浸透に関する研究
Project/Area Number |
19530674
|
Research Institution | Miyagi University of Education |
Principal Investigator |
笠間 賢二 Miyagi University of Education, 教育学部, 教授 (50161013)
|
Keywords | 教員 / 教員像 / 教育規範 / 教員褒賞施策 / 優良教師 / 学校経営 / 小学校 |
Research Abstract |
交付申請書に記載した「研究目的」と「研究実施計画」に沿ってつぎのような作業と分析を行った。 1.教員褒賞施策の実施状況の調査を行った。施策は、文部省(文部大臣)によるものだけではなく、府県レベル(知事)や郡レベル(郡長)でも実施されていた。これに教育会等の私的団体によるものをくわえると、この種の施策は、幾層にも折り重なって、権威の序列化を伴って、重層的に実施されていたことを確認することができた。 2.教員褒賞施策に伴って作成された学校経営事績調書(以下、調書と略記)の調査と収集を行った。「埼玉県行政文書」、「群馬県行政文書」、「大分県庁文書」、「秋田県庁文書」、「宮城県庁文書」。このうち、「埼玉県行政文書」、「群馬県行政文書」、「宮城県庁文書」のなかに、明治期以来の多数の調書が所蔵されていることを実際に確認することができた。そのうちのかなりの部分は、複写ないし撮影(デジタル化)することができた。 3.教員褒賞施策の実施過程の分析を行った。上記の調書は、基本的には、行政当局によって調査され作成された調書であるが、その内容は、それぞれの時期における学校経営の実際的あり様を具体的に記述したものとなっている。褒賞施策が本来、顕彰による当事者の意識の調達だけでなく、その示範による他者の共鳴という政策効果を期待して実施されるものである以上、この調書も、行政側によって「望ましい」と「構成」された学校と教師の具体的あり様を指し示すものであると同時に、教育社会の側からの支持と共鳴の獲得をめざしたものであった。つまり、「優良教師」の「優良事績」という性格をもたされたものであった。褒賞施策の実施過程の分析から、このことを確認することができた。 4.これらの調書を、教師のあり様(人格・倫理的側面、しごとの内容的側面、地域・保護者との関係の側面)に焦点づけて分析し、今後、教育「規範」の内容の解明を進めていきたい。
|
Research Products
(2 results)