2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530689
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
山崎 準二 Tokyo Gakugei University, 教員養成カリキュラム開発研究センター, 教授 (50144051)
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Keywords | 教師 / ライフコース / 質的事例的調査 / 発達サポート機能 |
Research Abstract |
教師は、自らの専門的な力量を生涯にわたって自己形成し、教育専門家としての発達を遂げていく。このことは、数多くの教師たちの経験が物語っている事実である。とりわけ、授業を担う実践的な指導力量は、教職に就いて以降の現職教育段階で、赴任した学校の中で数多くの授業実践を遂行し、教師の同僚間の経験交流や集団的な授業研究の取り組みの過程で、次第に獲得されていくのである。 女性教師の場合、そのライフコース上、教師としての発達と力量形成を支え促す観点・要因として、次のような事柄が重要であることが明らかとなった。 1. 「子どもたちとの出会い」の中での力量形成と発達 担当する子ども(特に非行・問題行動・障害・不登校などを抱え個別の指導を必要とする子どもの場合が重要である)の指導経験のみならず、教師自身の出産・子育て経験 2. 職場や地域における「教師集団」の中での力量形成と発達 さまざまな教育実践上の困難な状況の中で、教師たちを支え、励まし、克服の方向性を示し、具体的な助言を与えてくれる存在としての職場や地域における先輩教師たち 女性教師たちのライフコースから導き出されるのは、日常の教職生活に内在し、教師たちの発達を支え促していく機能(=インフォーマルな発達サポート機能)の存在の大きさである。勤務校における子どもたちとの出会いと格闘、その経験過程で得られる先輩教師たちからの援助や助言、あるいは自らの子どもの出産・育児といった私的経験までもが、教師としての力量形成に大きな影響を与え、教師の発達を促す機能を発揮しているのである。
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