2007 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本における中学校と高等女学校の比較研究:中等教育におけるジェンダーの構築
Project/Area Number |
19530694
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小山 静子 Kyoto University, 大学院・人間・環境学研究科, 教授 (40225595)
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Keywords | 中学校 / 高等女学校 / ジェンダー / 数学教育 / 実科科目 / 『日本少年』 |
Research Abstract |
今年度実施した研究の一つは、男女の中等教育機関である、中学校と高等女学校の比較研究である。具体的にいえば、和歌山県を事例として、中学校と高等女学校の設立時期や教育期待の相違を明らかにし、その違いがなぜ生み出されたのか、人々の男子教育や女子教育に対する考え方の相違を考察した。また、中学校と高等女学校の教育内容がどのように異なっていたのか明らかにするために、数学の内容や程度の相違、実科科目として教えられている教育内容の違いを取りあげて検討した。これらのことを通して、同じ中等教育でありながら、男子教育と女子教育に対する社会的な期待の違いやそれが生み出されていく社会的な背景、そしてそこからもたらされる男子教育と女子教育の内実の差異に迫っていくことができたように思う。もう一つ今年度行った研究は、「男らしさ」や「女らしさ」に関わる研究である。これは、学校教育を直接的な研究対象とするものではないが、中等教育におけるジェンダーの問題を考察するためには、社会に存在している性規範や性別役割観を明らかにすることが必要不可欠だからである。そのために、今年度は『日本少年』という少年雑誌においてどのような男性像が「男らしい」と考えられていたのか、そしてそれが時代の変化とともにどのように転換していったのかを検討した。今年度は初年度ということもあり、いくつかのテーマを断片的に取りあげたに過ぎないが、これらの研究を積み重ねながら、近代日本における中等教育がジェンダーによってどのように構築されていたのか、総合的な把握をめざしたいと考える。
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Research Products
(2 results)