2008 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本における中学校と高等女学校の比較研究:中等教育におけるジェンダーの構築
Project/Area Number |
19530694
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小山 静子 Kyoto University, 大学院・人間・環境学研究科, 教授 (40225595)
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Keywords | 中学校 / 高等女学校 / ジェンダー / 友情 / スポーツ / 音楽 |
Research Abstract |
今年度は、主に二つの研究領域に取り組んだ。一つは、中学校と高等女学校に通う中学生と高等女学生の文化に関する比較研究である。具体的にいえば、一つは友情論であるが、「男の友情」と「女の友情」の内実を検討した結果、男の友情が「兵士として、労働力としての友情」や「戦友意識」といったものに直結するのに対して、女の友情は「日本の少女」表象が見られるものの、それらに直結しないという特徴をもっていることが明らかになった。もう一つは、実業之日本社から発行された『日本少年』と『少女の友』に表れた、男女それぞれの理想像の検討であるが、軍人が理想的男性像であるとしても、それは歴史的に変遷していくことがわかってきた。 そしてもう一つの研究領域が、中学校と高等女学校における教育の比較であり、具体的には、修身教科書の中の修養論、スポーツ、音楽を取りあげて検討した。たとえば、スポーツに関していえば、体育に対する公式な意味づけの違い、「野球=男性的、テニス=女性的」という認識の存在、スポーツ観の違い、「女子向けスポーツ」というとらえ方の存在、「運動好き」と「運動嫌い」に関するジェンダー差、などが視点として浮かび上がってきた。また音楽に関しても、高等女学校と中学校との温度差などが指摘できる。 これらの知見は、今年度の研究を通して明らかになったことの一部であるが、ジェンダー差の存在とその歴史的な変遷ということが次第に明らかになってきているといえるだろう。
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