2009 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本における中学校と高等女学校の比較研究:中等教育におけるジェンダーの構築
Project/Area Number |
19530694
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小山 静子 Kyoto University, 大学院・人間・環境学研究科, 教授 (40225595)
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Keywords | 中学校 / 高等女学校 / ジェンダー / 実科教育 / 修身教科書 / 生理衛生教科書 / 青年期 |
Research Abstract |
今年度は主に二つの研究課題に取り組んだ。一つは、中学校と高等女学校における教育内容の比較であり、具体的には、実科教育、修身教育、生理衛生教育を取りあげて検討した。その結果、修身教科書においては、中学校も高等女学校もともに夫の愛護と妻の従順の必要性を述べ、性情や体質の違いや性別分業を肯定していたが、中学校では男女の同等性や相互の貞操を主張し、高等女学校では女子の貞操、夫唱婦随や内助、夫に対する礼儀を強調するなどの相違があることが明らかになった。また生理衛生教科書では、中学校のものは人種にする相違を、高等女学校のものは性別による相違を強調しているという知見を得ることができた。 二つ目の研究課題は、少年像や少女像に見られる男性性と女性性の比較検討であるが、具体的には、青年期概念における男性性と女性性を解明と、文芸にみられる少年らしさや少女らしさのありようを検討した。その結果、青年期概念が既存の男性イメージや女性イメージに科学的承認を与える役割があったこと、少年にとって大人びた文章が書けるということはエリートの証でありながら、少年らしさの発露も求められており、少年はその矛盾の中にいたこと、他方で少女は少女らしさだけが求められていたことが明らかになった。 これらの知見は、今年度の研究を通して明らかになったこと一部であるが、研究を通して、教育制度め相違にとどまらない、中等教育におけるジェンダーの内実が明らかになってきているといえる。
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Research Products
(2 results)