2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530699
|
Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
安藤 輝次 Nara University of Education, 大学院・教育学研究科, 教授 (70143930)
|
Keywords | 初任者教員 / 優秀教員 / 資質・能力 / ルーブリック / 教育技術・方法 / 教師のライフサイクル / 指導フレームワーク / 初任者研修 |
Research Abstract |
本年度の[研究目的]は、(1)文献調査だけでなく(2)初任研を受けている新任教員や(3)いわゆる優秀教員について実地に調査して、(4)これら二種類のタイプのルーブリックを開発し、(5)その成果をまとめることであった。 そのために、(2)については、奈良県と宮崎県の初任研の全体研修修了時にアンケート調査を行い、(a)「つけた力」とその具体例、(b)「これからつけたい力」等を尋ねた結果、(a)も(b)も授業をする力がトップに挙げられたが、文献研究とも照らし合わせると、(a)は教育技術面(板書や発声等)、(b)は教育方法(発問や資料等)と区別でき、生徒指導とも絡めていることが判明した。なお、小学校では保護者との人間関係、中学校では生徒指導する力に力点がある点が校種による違いである。(3)については、全国のいわゆる優秀教員を設けている県教育委員会を訪問したが、半数は、選出規準の開示拒否又は課外活動や県教委教育政策顧問などである、残る半数の県から得られた選出規準の調査から次のことが分かった。優秀教員には授業力限定の場合と生徒指導や学校経営にまで広げた場合の2種類があるが、教師のライフサイクルを踏まえると、たとえ授業力限定の優秀教員でも、生徒指導もしっかりやっており、学校の全体研修の指導的役割を果たしていることが多く、優秀教員の資質・能力は後者の観点で抽出する必要があるということである。しかし、わが国の優秀教員の規準は、「豊かな」「優れた」などの肯定的意味合いの形容詞が多く、情緒に流され易い。対照的に、現在アメリカ各州で広く採用され、教職の自己学習にも役立てられている(4)C.Danielsonの指導フレームワークが学部生から初任研、中堅教員、優秀教員の資質・能力のルーブリックとして参考になるということを突き止め、(5)の本学紀要に論文として掲載した。
|
Research Products
(2 results)