2007 Fiscal Year Annual Research Report
近世後期から明治初期にかけての手習塾絵画資料のデータベース化と分析研究
Project/Area Number |
19530708
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
鈴木 理恵 Nagasaki University, 教育学部, 准教授 (80216465)
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Keywords | 手習塾 / 手習い / 師弟関係 / 絵画資料 / 黄表紙 |
Research Abstract |
本研究の目的は、近世後期から明治初期の手習塾のようすを描いた絵画資料を分析し、手習塾について環境・人(師弟間および子ども間)・モノの観点から分析することである。2007度の目標は、手習塾に関するかい絵画資料(刊行資料および一次資料)を収集することに置いていた。国会図書館、都立中央図書館、玉川大学教育博物館、広島県三次市立図書館、広島県山県郡井上家(江戸期に手習塾を経営)などにおいて資料調査をおこなった。刊行資料としては、主として『往来物大系』『絵画集成近世子どもの世界』『江戸時代女性生活絵画大事典』『稀覯本往来物集成』『近世育児書集成』などを閲覧し、約100点の図を収集した。一次資料としては、往来物や黄表紙の挿絵を中心として約50点の図を収集した。 収集した各図について、学びの内容・場所・室内外に描かれたモノ・人数・師匠の服装や持ち物・学習者の服装や姿勢・師弟の位置関係どの観点からの分析も開始した。教場に集まった多人数の子どもたちが異なる手本を学んでいたことや、素読をする師弟が正装して書物に臨んでいたことが読みとれた。また、手習塾で小謡の指南がなされていたことは従来ほとんどかえりみられることがなかったが、井上家の日記や絵画資料あるいは往来物テキストから、その重視性や意義について再評価すべきである。こうした点に注意しながら、一次資料の収集と収集資料の分析を2008年度も継続しておこなう予定である。 また、これらの成果の一端として、『孝経童子訓』の「手習の図」を使い、「庶民教育の普及」と題して広島県立て歴史博物館において講演をおこなった。
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Research Products
(1 results)