2009 Fiscal Year Annual Research Report
植民地教育令の制定過程に関する研究-台湾と朝鮮を比較して-
Project/Area Number |
19530713
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Research Institution | Saitama Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 由美 Saitama Institute of Technology, 人間社会学部, 准教授 (10399123)
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Keywords | 朝鮮教育令 / 台湾教育令 / 斉藤實 / 隈本繁吉 / 朝鮮総督府 / 台湾総督府 / 枢密院 |
Research Abstract |
本研究の目的は、かつて日本の植民地であった台湾(1895-1945)と朝鮮(1910-1945)に公布・施行された各時期の教育令の制定過程と内容の変遷について比較的に分析を行い、植民地教育の思想的根幹がどのように築かれたのかを明らかにすることにある。3年目にあたる今年度の研究実施計画は光当初,第3次朝鮮教育令の制定過程の分析の可能性を検討すること、学会報告を行い、論文を執筆することにあった。しかしながら、第2次台湾教育令、第2次朝鮮教育令の比較分析に予想以上に時間がかかり、学会報告には至らなかった。現在、論文執筆の準備中である。 現時点で得ている知見は、(1) 統治の開始から全く異なる地理的条件、社会的背景を有する両地域が、日本政府の現地の出先機関である両総督府主体の統治から、日本政府の配下に置かれ、同じ植民地と位置づけられ,共通の教育政策が施行される過程が第2次の両教育令から明らかなこと。(2) その際に第1次朝鮮教育令の制定に関わった学務官僚や日本の教育家が一定の働きをしていること。(3) 一方で、両地域の教育事情の差から教育政策も完全に日本政府主導とはいかなかったこと(第3次教育令の公布・施行は朝鮮のみで台湾にはない。)といった諸点である。比較的、通史的な視点で分析することで、両総督府の総督をはじめとした首脳部、学務官僚と日本政府、枢密院の統治方針や教育政策の決定過程が明らかになることに意義がある。
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Research Products
(2 results)