2007 Fiscal Year Annual Research Report
選択制度を触媒とする公立学校統治(ガバナンス)の再構築に関する研究
Project/Area Number |
19530720
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
黒崎 勲 Nihon University, 文理学部, 教授 (70012573)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大田 直子 首都大学東京, 人文科学研究科, 教授 (40211792)
清田 夏代 首都大学東京, 都市教養学部, 講師 (70444940)
長嶺 宏作 日本大学, 文理学部, 助教 (30421150)
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Keywords | 教育学 / 学校選択 / 公立学校 / 教育ガバナンス / 教育委員会 / 教職の専門性 / 効果的な学校 / 市場原理 |
Research Abstract |
学校選択制度に関する諸研究を概観し、批判的に考察した結果、以下の諸点が解明された。すなわち、学校選択制度についての理論的考察はこれまで往々にして教育における市場原理の有効性をめぐるものとして、賛否を激しく争うものとして展開されてきた。しかし、学校選択制度による公立学校改革といわれるものが決して一枚岩的なものではなく、多様な制度理念、形態をとるものであることを知るならば、学校選択制度を触媒とする公立学校統治の再構築という課題はそのような市場原理の有効性といった単純なアプローチによって接近されるべきものではなく、教育学をどのような性質の社会科学として理解し、教育学理論の神髄をどのように把握するかという、深く教育学研究の方法論に関わるものでなければならない。「選択制度を触媒とする公立学校統治(ガバナンス)の再構築に関する研究」という主題は「教育学としての教育行政研究」とはなにかという問いを抜きにしてはあり得ないのである。従来の主要な争点となった教育制度における市場原理の有効性についても、これを社会制度の機能を観察するという立場からアプローチするのか、教育を統治する関係者の行為の意味を拡大するためにいかに活用しうるのかという立場からアプローチするのかという研究方法の相違こそが重要であり、本研究は、かつて1970年代に社会科学的研究方法の教育理論への適用の限界を厳しく批判して教育学独自の理論を構築し、今日にまで大きな影響をあたえている「効果的な学校の理論」の意義を再検証するものとなった。
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