2008 Fiscal Year Annual Research Report
公立学校教員の非違行為と懲戒処分の在り方に関する研究
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19530721
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
坂田 仰 Japan Women's University, 家政学部, 准教授 (70287811)
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Keywords | 非違行為 / 懲戒 / コンプライアンス / 学校管理 |
Research Abstract |
本研究は,公立学校教員の非違行為について,その防止と客観的な懲戒基準の確立に向けて必要とされる基礎的資料の提供を第一義的目的としている。従来,地方公務員一般として論じられてきた公立学校教員の懲戒処分について,社会認識の変化に呼応し,そこから分化した独自の研究対象として措定し,公立学校教員固有の懲戒処分法理を模索しようとする点に学術的特色が存在している。研究最終年度にあたる本年度は,都道府県・政令指定都市教育委員会,市教育委員会を対象としたアンケート調査を行うとともに,昨年度に引き続き,公立学校教員の非違行為に関わる裁判例の収集・分析に努めた。 アンケート調査の結果,第一に,教育公務員と公務員一般の懲戒基準に差を設けている教育委員会が3割弱存在していることが明らかとなった。差を設けている懲戒処分事由としては,セクシュアル・ハラスメント,わいせつ行為が最も多く,飲酒運転,体罰等の回答も見られた。処分基準に差を設けている理由としては,「教員には高い倫理観・信頼が求められるから」とする記述が多く寄せられている。第二に,研修実施の実情に関しては,法令遵守を意識した学校管理・経営研修の充実を望みながらも,講師の確保や研修内容について多くの悩みを抱えていることが明らかになっている。 裁判例の収集・分析の結果からは,公立学校教員の非違行為に対する社会的視線の変化が,裁判例にも反映する傾向が見られることが明らかとなった。その一例として福岡高等裁判所は,少なくとも教員については「とりわけ高いモラルと法及び社会規範遵守の姿勢が強く求められるものというべきである」とし,教職員を一般の地方公務員から区別しより重い処分を定めた懲戒処分指針を容認する判決を下している(福岡高等裁判所平成18年11月9日判決)。
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Research Products
(2 results)