2007 Fiscal Year Annual Research Report
フランス社会教育施設の公・私セクターの関連構造-公共圏の創造の視角から
Project/Area Number |
19530736
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Research Institution | Shigakukan University |
Principal Investigator |
岩橋 恵子 Shigakukan University, 法学部, 教授 (70248649)
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Keywords | 社会教育施設 / フランス / 公役務の委任 / アソシアシオン / サパン法 / 公共圏 / 公・私セクター / アニマトゥール |
Research Abstract |
本研究の目的は、フランス社会教育施設の管理運営における<私セクター>と<公セクター>との関連構造を解明することによって、公共性の多元的な担い手による公共圏の創造のための社会教育施設のあり方をさぐることにある。初年度である平成19年度は、以下の2点の解明を図った。 (1)現地調査および資料・文献を通して社会教育施設の管理・運営形態の類型化を試み、主に次の4つの管理・運営形態を見出すことができた。(1)市町村が所有するが、アソシアシオンなどの民間団体が契約(「公役務の委任」等)により運営する施設(2)同じく市町村が所有しアソシアシオンなどの民間団体に運営が委任されるが、個々の施設でなく、市の社会教育施設全体の運営が委任される形態(3)市町村が所有し市町村職員(アニマトゥール等)が運営する施設(4)アソシアシオン全国連盟が所有し、個々の地域の活動の方向を連盟が支援する施設、である。 (2)上記(1)のケースである「公役務の委任」(DSP)の仕組みとその意味の解明を図った。1960年代に始まる社会教育施設の管理運営は、施設の建設・提供を<公セクター>が行い、管理運営を<私セクター>が行うという「公役務委任契約」によるものであった。それは一切の手続き的制約を受けることなく自由に(convention de gre a gre)行われてきた。その結果、アソシアシオンが施設を通して政治的に統制あるいは排除されるという問題を生じた。1993年サパン法によって設けられたDSPは、公募によって管理運営を委任する候補者による計画書を提出させ、それを市町村関係者(行政職員・住民選出委員)が審査することで、公開性と競争性をもたせることで公・私セクターの関係の恣意性の解決を図ろうとするものである。
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Research Products
(2 results)