2009 Fiscal Year Annual Research Report
フランス社会教育施設の公・私セクターの関連構造-公共圏の創造の視角から-
Project/Area Number |
19530736
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Research Institution | Shigakukan University |
Principal Investigator |
岩橋 恵子 Shigakukan University, 法学部, 教授 (70248649)
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Keywords | フランス / 社会教育施設 / 公共圏 / 社会センター / 余暇センター / アニマシオン / 公・私セクター / プロジェクト契約 |
Research Abstract |
平成21年度は、日本の社会教育施設との比較において、地域公共圏の創造という点で示唆的な社会センター(centre social)と余暇センター(centre de loisirs)に焦点をあて調査・考察を行った。 (1)社会センター、余暇センターの認可は、いずれもセンターが提案するプロジェクト契約を基に公的機関(社会センターの場合は家族手当金庫、余暇センターは青少年スポーツ省)によって行われる。したがって、これら社会教育施設は、単なる設備提供施設でも、活動機会提供施設でもなく、広く住民・青少年に開かれた地域のプロジェクト遂行機関である。プロジェクトは、社会センターでは民衆教育、社会発展、連帯経済など総合的アニマシオン(animation globale)、余暇センターでは青少年の教育アニマシオン(animation educative)が志向され、住民参加で進められる。(2)管理運営のあり方は、官直営か民間委託かは争点になりえず、その責任機関が公・私いずれのセクターであれ、住民の参加と地域のネットワーク形成がプロジェクトの要となり、公共性の多元的な担い手が想定されている。またネットワークづくりをはじめとする諸活動のための専門職員(アニマトゥールなど)が多数(一般に数十名規模)配置されている。(3)財源の6~8割が公セクターから拠出されるが、その場合複数財源(家族手当金庫、国、県、市町村など)であり、この点でも多元的であると同時にリスクが分散されている。また、財源確保を含むロビーイング機関としての連盟組織や専門職員養成のための機関が組織され、これら社会教育施設を保護・支援するネットワーク形成もなされている。 以上の考察から、これらの社会教育施設が、住民の参加と対話・実践の豊かな活動を基にしたプロジェクトを土台に、公・私セクターの多元的なネットワークを創ることによって、公共圏を地域に構築する核としての役割を担ってきている(あるいは担おうとしてきている)ことが明らかになった。
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Research Products
(4 results)