2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530738
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Research Institution | Tokyo Tanaka College |
Principal Investigator |
山本 由美 Tokyo Tanaka College, こども学科, 准教授 (00442062)
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Keywords | 教育学 |
Research Abstract |
1、学校統廃合の全国的動向 02年頃から全国統廃合数は増加し、戦後第3のピークを迎えている。全国的な学校統廃合の動向(年度別推移統廃合数、都道府県別廃校数推移)を明らかにした上で、その理由を都道府県別に分析する作業に着手した。同時期からの増加は、市町村合併に伴う学校統廃合が多く、特に、広島、熊本、大分、新潟、福島などに顕著な傾向が見られた。これらの自治体では、同規模の自治体が合併し首長選を終えた後などに、統廃合が行なわれやすい傾向がある。また、市長選合併に消極的だった自治体では、北海道(全国統廃合1位)を過疎を理由とする多数の廃校及び休校が実施され、東京(同2位)では学校選択制(もしくは同様の機能を果たす指定校変更)による小規模校の出現が統廃合に結びつくケースが顕著である。また、全てのケースに共通するのは行政による保護者の選択行動の促しにつながるいわゆる“切磋琢磨論"や“大規模校は教育効果が高い"といったロジックが多用されていることである。そのような実態調査研究成果については、「新自由主義的な学校統廃合とは何か-戦後第三のピークを迎えて-」(2009年3月『人間と教育第61号』旬報社pp16・24)にまとめ、刊行予定の「学力テスト、学校選択、学校統廃合(仮題、09何7月刊行予定)により詳細に公表する予定である。 2,各地の学校統廃合 以下の自治体については、訪問調査、文献調査などによる個別ケースの調査研究を進めた。 (1)佐賀県唐津市大規模市町村合併の後、周辺部の合併自治体の小規模校が統合対象に挙げられている。唐津市中心街の再開発に伴い,中高一貫校の新設など公教育全体の再編の中の統廃合が位置づけられている。市の教員組合、教職員組合による町づくりの代替プラン作りが進められている。 (2)宮城県仙台市07年に出された行政による大規模統廃合計画が市民運動により凍結されたケースである。「地域の学校」の価値が対抗軸に挙げられた。 (3)東京都東京都23区の東部から西部に統廃合のピークが移動した。江東区、新宿区などでは、統廃合に結びつく学校選択制の見直しが始められた。
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