2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530743
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
加藤 毅 University of Tsukuba, 大学院・ビジネス科学研究科, 准教授 (10233800)
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Keywords | 大学教員 / 大学職員 / 大学マネジメント |
Research Abstract |
大学教員および事務職員が多様化しそしてボーダレス化するという変化が一方で進展し、同時に求められる専門性の高さゆえに機能分化に向けたベクトルが作用する。この2つの変化がすすむことで、大学教員という専門的職業はこれからどのように変わるのか。あるいは、大学職員はどのような専門性を持ちうるのか。本年度は、昨年度に引き続き現地訪問調査を実施するとともに、大学教員の間で進行しつつある変化を明らかにするため、過去の実施した調査データの再分析を行った。主たる知見は以下の通りである。 1)産学連携だけではなく、キャリア支援やスタッフデベロプメント、リスクマネジメント、社会連携、研究支援など、様々な領域において、外部の専門人材が教員として招聘され、具体的な成果を挙げつつある。現地訪問調査を通じて、いずれの活動も皮肉なことに、伝統的な教員が従事している教育研究活動の質を改めて問い直す契機を潜在的に有していることが明らかになった。 2)大学教員のおかれた環境の中で最も問題であると認知されているのが、時間の劣化である。その大きな要因である管理運営活動についてみると、多くの教員は、自身の能力を必要としない、代替可能な内容であると考えていることが明らかになった。外部からの専門人材が現場で成果を挙げつつある、大学として責任を持って遂行しなければならない高度の業務に対して、大きな意思決定に直接かかわる伝統的な教員からの関心は薄いという皮肉な結果である。 3)工学分野では、すぐれた研究環境のもとでグローバルに研究活動を進展させている教員と、劣化した研究基盤のもとで研究者ネットワークから外れ孤立した教員とに二極化する傾向が拡大しつつある。これは、大学教員の役割分化の萌芽であるとも考えることができよう。
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Research Products
(2 results)