2008 Fiscal Year Annual Research Report
多民族社会における教育の国際化の進展に関する国際比較研究
Project/Area Number |
19530756
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
竹熊 尚夫 Kyushu University, 人間環境学研究院, 准教授 (10264003)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹熊 真波 福岡国際大学, 国際コミュニケーション学部, 准教授 (50253373)
長濱 博文 九州女子大学, 人間科学部・人間発達学科, 専任講師 (00432831)
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Keywords | フィリピン / 中華学校 / 多民族社会 / 教育の国際化 / 移民教育 |
Research Abstract |
本年度は第一に、フィリピン現地調査を実施した。フィリピンでは多民族社会における中華学校を中心に、中華系の生徒・教師を主体とした中華系の名前を冠する学校、カトリック系のエリート学校だが中華系の生徒が多い学校、など複数の中等学校に訪問し、校長、教頭、語学教師など関係者との面接、資料収集等を行った。また高等教育における民族と国際化の関わりについて、アテネオ・デ・マニラ大学、フィリピン国立大学、国立フィリピン師範大学の国際交流部及び関係部署を訪問し、インタビューと情報収集を行った。第二に、フィリピンの収集データを整理し、一部を論文にまとめ発表すると共に、昨年度から継続している民族学校の多民族社会における研究の位置づけについて論文をまとめこれも公表した。本年度の成果としては、フィリピン調査では「チノイ」と呼ばれる中華系フィリピン人は一般の公立学校に通い、フィリピン社会では古くから順応し、フィリピンナショナリズムのもと統合され、見えにくくなっている一方で、民族系の学校はそれほど多くはないものの、中国語教授や養成される学力の高さから、中等教育、高等教育の教育機関を運営し、教科書、教師採用などにおいて台湾や大陸との関係も保持していることが明らかとなった。コミュニティとの関係においては、中華街のような境界は日本のように明確ではなく、統合されながらも中華文化としてのルーツを維持し、また、フィリピン特有の地域差や多宗教・多民族性、チノイでありながら独立の英雄であるホセ・リサールの存在などから、タイやマレーシアのような閉鎖的かつ先鋭的でないナショナリズムとしてのフィリピン独特のあり方が見られた。民族学校と民族コミュニティ、より大きなフィリピン社会との関わりにおいて中華学校は中国語圏への学習の窓口となりマニラの高等教育と並んで地方や異民族から海外への結節点となっていることなどが確認された。
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Research Products
(2 results)