2008 Fiscal Year Annual Research Report
大学ユニバーサル化時代に対応した新しい高大接続モデルの構築-加と豪を素材として-
Project/Area Number |
19530763
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Research Institution | Toyo Eiwa University |
Principal Investigator |
佐藤 智美 Toyo Eiwa University, 人間科学部, 教授 (80240076)
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Keywords | 高大接続 / 大学入試 / オーストラリア / 中等教育 |
Research Abstract |
わが国では「大学ユニバーサル化時代」「大学全入時代」を迎えた。学校システムの量的構造の変化により、かつては入学試験により高校と大学の接続関係をつけることができたが、もはや「入学試験」によって高校と大学との接続をつけることが困難になっている。従来の選抜(入試選抜)に替わる新しい接続方式を創り上げることが喫緊の課題なのである。本研究では、各国の中等教育の歴史的発展段階とその位置づけという観点から、カナダとオーストラリアという単線型の中等教育制度を採る国(州)に着目し、そこによりスムースな高大接続の可能性を探ることにした。両国(州)の中等教育制度および大学入学者選抜制度、および高等教育制度を分析することによって、両国(州)の高大接続システムの構造および特徴を明らかにした上で、大学ユニバーサル化時代にふさわしい高大接続モデルのひとつを提示することが本研究の課題である。 本年度は,オーストラリアのクイーンズランド州を対象にして,クイーンズランド学習局,グリフィス大学,中等学校等を訪問し,中等教育カリキュラムの内容および中等教育政策,クイーンズランド州における大学進学手続き,進路選択過程,大学における入学者選抜のプロセスについて調査・研究を行った。訪問調査の結果,(1)入学試験は実施されず,中等学校の成績に基づいて入学者を選抜するのがクイーンズランド州の大学入学者選抜制度の大きな特徴であること,(2)そのために中等学校内での進路選択過程における指導が重要あること,が明らかになった。したがって,今後,中等教育段階での進路分化の指導内容や中等学校成績評価のための共通的な評価の仕組み等を明らかにすることが必要である。
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