2007 Fiscal Year Annual Research Report
イギリスにおける一年制教職謀程(PGCE)の分析-日英比較を視点として-
Project/Area Number |
19530765
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Research Institution | Nagoya University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
加藤 潤 Nagoya University of Foreign Studies, 外国語学部, 教授 (80194819)
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Keywords | PGCE / 教員養成 / イギリス / 教育改革 / 教育実習 / 比較教育 |
Research Abstract |
本年度の研究では、二回のイギリス調査によって、次のような成果が得られた。 第一回調査では、イギリスにおける一年制教職課程(Post Graduate Certificate in Education)が、1960年代から90年代の教育改革の流れの中で、どのような議論から生まれたのかを、1)文献研究、2)当時の官報調査、から明らかにした。結論としていくつかの知見が引き出された。1)PGCEが高等教育の中ではなかなか定着せず、むしろ、伝統的大学からは職業的すぎると敬遠されてきた60年代の背景が明らかになった。2)しかしながら、80年代に入って、教員の質向上のため、高等教育での教員養成から現場初等中等学校主体の教員養成(school basedtraining)への移行が急速に進んだ。その背景には、イギリスにおける政府主導の教育改革があった(教育の市場化)。 第二回調査では、PGCEがどのようなカリキュラム、指導法によって行われているかを事例研究した。具体的には、エクセター大学教育学部の教員養成課程と教育実習校であるKing's School(エクセター市郊外の総合制中等学校:comprehensive shool))との間の提携関係(partnership)について、その契約内容、資金分配、入学制の志願倍率、実習指導体制、学生の実習評価方法等、詳細なデータと関係書類を提供してもらい、PGCEの全容を明らかにした。さらに、第二回調査では、King's Schoolで2週間にわたって7人の教育実習生と共に活動し、参与観察を実施した。その中で、現場教員へのインタビュー、実習生へのインタビュー、実習成績表の入手、実習生と指導教員との面談記録(録音、映像)、現場教員によるレクチャーの撮影など、包括的な記録をとり、そこから、教育実習指導体制の実態とその効果測定の有効性を明らかにした。 これらのデータを下にして、現在、PGCEと我が国の教職課程との比較研究を進めている。
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