2008 Fiscal Year Annual Research Report
ドイツ、オーストリアのデュアルシステムの変容と学校型職業教育・訓練の役割
Project/Area Number |
19530768
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Research Institution | Otemon Gakuin University |
Principal Investigator |
佐々木 英一 Otemon Gakuin University, 心理学部, 教授 (30125471)
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Keywords | デュアルシステム / 職業教育 / 職業訓練 / 職業専門学校 |
Research Abstract |
本年度の研究課題は、ドイツにおける学校型職業教育・訓練の現状把握、オーストリアにおける後期中等教育段階での職業教育・訓練の現状把握であった。 ドイツについては、2月にビュルツブルク、エアフルト、ライプチッヒの3大学において資料の調査収集を行った。ここでは従来手薄であった旧東ドイツ部分の職業教育・訓練の実態についての知見が得られた。研究の結果、ドイツにおいては学校型の職業教育・訓練の発展は、デュアルシステムの収縮と同時に、外国人家庭や貧困層の増大に付随する学力不振者の増加が背景にあることが鮮明となった。移行システムと呼ばれる各種プログラムに在籍するものは同世代のほぼ3分の一を占める。中でも、職業準備年、職業基礎教育学年と呼ばれるプログラムは、学校型職業教育・訓練の中で、大きな比重を占めている。 この機能は、学校型職業教育・訓練の本来の機能とは異なるが、社会的弱者に対する補償機能として評価すべき役割として注目される。 デュアルシステムの現状については、さまざまな強化策が講じられているものの、その収縮傾向は止まらず、質的にもその高度化などの変化が認められる。本格的な初期訓練の再編期にドイツは入りつつあることが確認できた。 オーストリアについては、今年度も引き続き1960年代から1970年代にかけての後期中等教育の改革についての政策論議、学校再編状況についての基礎的データを収集した。
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