2008 Fiscal Year Annual Research Report
教員養成系大学における絵画教育内容の構造化についての研究
Project/Area Number |
19530786
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
小澤 基弘 Saitama University, 教育学部, 教授 (40241913)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 修 千葉大学, 教育学部, 教授 (20302515)
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Keywords | 絵画教育 / シラバス / 個性 / 感性 / 自己実 / 反省・内省 / 構造化 |
Research Abstract |
昨年度はインターネット上から全国国立大学法人教育系大学・学部における絵画教育に関する授業シラバスを検索し、それらを一覧にして要約的にまとめると共に、そこからキーワードを抽出し、それらの頻度をカウントして、現在行われている教育学部での絵画教育内容の総体を府瞰できるような資料作成を行った。また、同時にシラバスだけでは明確にできないような事項、例えば絵画教育における「個性」あるいは「感性」をどう捉え、それをどう教育の中に反映させているのか等の、核心的事項に対して、直接全国の絵画教員にアンケート調査を実施した。つまり、昨年度は、本研究に入るために必要な資料作成に一年間を費やすこととなった。 本年度は、昨年度作成した資料に基づきながら、現行の教育内容の分析及び、その分析から浮上する共通事項と諸問題について、シラバス分析とアンケート分析を行った。また、昨年度に二校の大学を訪問し、実際の授業内容を取材すると同時に、各絵画教員に対してインタビューを行ったが、それらの資料も同時に活用しながら、絵画教育内容の構造化を進めて行った。材料や表現手法という教育内容の表層性の教授は、いうまでもなくどの大学においても満遍なく展開されているが、重要なことは「個性」や「感性」に密接に関わる自己発見や自己実現の問題を、いかにして教育内容の中に明文化し、かつ教育方法として具体化していくかという点にあることが、徐々に明らかになってきた。つまり、学生に主体的に自己制作について「反省」させる有効な方策の模索が、とりわけ教育学部の絵画教育(ひいては全教科専門教育)にとって、もっとも重要であることが明らかとなってきたのである。この点を中心的テーマと標榜して行われている授業は、シラバス分析上は殆どないのが現状であった。教員がその点に力点を置いているにも関わらず、それが具体的授業の方法として導入されていないのは、やはりその理念の具体化が極めて困難な問題を孕んでいることの証左といえる。今後の筆者の研究は、このあたりの問題を更に考察し、それを教育的にどう確立していくのかを継続研究していく。
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