2008 Fiscal Year Annual Research Report
社会的相互作用に基づく数学的意味の構成に関する認識論的・記号論的研究
Project/Area Number |
19530826
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
山口 武志 Hiroshima University, 大学院・教育学研究科, 准教授 (60239895)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 秀樹 広島大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (50116539)
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Keywords | 算数・数学教育 / 社会的相互作用 / 数学的意味の構成 |
Research Abstract |
今日,算数・数学の多くの授業では,主体的な学習の実現のために,子どもたちの多様な考えに基づく「社会的相互作用(social interaction)」の過程が重視されている。本研究の第1の目的は,「社会的相互作用」と「数学的一般化」という2つのキーワードに注目しながら,算数・数学学習における「主観的認識から客観的認識への変容過程」を認識論的かつ記号論的に分析するための理論的枠組みを構築することにある。また,第2の目的は,その理論的枠組みに基づいて,社会的相互作用を主軸とした算数・数学の授業を設計,実施,評価しながら,理論的枠組みの規範性ならびに記述性を検証し,多様な考えに基づく算数・数学学習への実践的示唆を得ることにある。 これら2つの研究目的にそって,2年目にあたる平成20年度には,下記の2つの研究に取り組んだ。 1.社会的相互作用に関する理論的考察として,オランダのGravemeijerらが提唱している「実際的数学教育」(realistic mathematics education)の理論およびその実践に注目した。具体的には,「実際的数学教育」の理論的基盤となっている「数学化」や「数学的モデル化」,さらには,「model of」,「model for」の考え方を検討しながら,社会的相互作用に関する記号論的考察を行った。 2.本研究グループが提唱している「一般化分岐モデル」について,社会的相互作用の視座からの理論的精緻化について検討した。具体的には,社会-文化主義理論で重視されている「文化的道具(cultural tool)」の視点から,「一般化分岐モデル」が依拠する認識論である「社会的構成主義」の限界を指摘した。また,その限界をふまえつつ,1.で検討した「実際的数学教育」における「自己発達モデル」という視座から,「一般化分岐モデル」の理論的補完の可能性について検討した。
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