2007 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本の標準語教育史に関する実証的研究-沖縄県の場合を中心に-
Project/Area Number |
19530834
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
梶村 光郎 University of the Ryukyus, 教育学部, 教授 (70255016)
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Keywords | 標準語 / 普通語 / 生活 / 方言 / 地域語 / 生活語 / 国語 / 生活綴方 |
Research Abstract |
今年度は、綴方教育と標準語教育の関係を見ていく上で必要な大正期から昭和初期にかけて発行された『鑑賞文選』と『綴方読本』の復刻の事業に参画し、これらの児童雑誌の性格と発行の意義について、書誌学的な面にも触れながら、解説と研究論文をまとめた。 『鑑賞文選・綴方読本』は、中内敏雄監修で緑蔭書房より平成19年度に復刻されたものであり、方言=地域語を許容した綴方作品が掲載されているものである。これらの雑誌に掲載された沖縄の子どもの作品を手がかりに、そこに地域語が使用されていたかどうかを確認し、綴方指導における地域語の矯正について考察することができる。そのような意味で『鑑賞文選・綴方読本』の復刻に参画し、実現できたことは本研究上からも有意義なことであった。また、復刻だけでなく、『復刻 鑑賞文選・綴方読本』に「解説 学年別児童雑読『鑑賞文選』の研究」を執筆した。この解説では、『鑑賞文選』とその後継雑誌である『綴方読本』の発行体制や状況を明らかにしながら、両雑誌が生活綴方運動に果たした役割について解説をした。次に、この解説であまり触れられなかった児童文芸雑誌『赤い鳥』との比較などを書き加えた「児童雑誌『鑑賞文選』の研究」という論稿を執筆した。この論稿では、『鑑賞文選』に限定して考察しているが、発行部数についても新しい数を提示している。いずれも地域語の使用を許容する生活綴方教育に関する研究であり、本研究を進める上で必要な基礎作業的な意味をもっているものである。
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Research Products
(2 results)