2008 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本の標準語教育史に関する実証的研究-沖縄県の場合を中心に-
Project/Area Number |
19530834
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
梶村 光郎 University of the Ryukyus, 教育学部, 教授 (70255016)
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Keywords | 標準語 / 方言 / 沖縄 / 標準語教育 |
Research Abstract |
本研究期間の研究調査は、沖縄本島の図書館などを除けば、(1)奈良女子大学附属図書館、(2)石垣市調査(市立図書館、瀬名波長宏氏宅)、(3)熊本県立図書館、(4)東京大学文学部図書室、(5)長崎県調査(近藤原理氏宅、長崎県立図書館、島原第一小学校)、(6)群馬県立図書館である。奈良女子大学附属図書館では、戦前の国語教育の専門書などから標準語教育関係の論稿を複写することができた。戦前の教育会雑誌については、熊本、長崎、奈良、群馬の各県立図書館で閲覧、目次と資料の収集ができた。近藤宅では、益雄氏の文集を複写することができた。石垣では、近藤健一郎氏らと共同で『沖縄教育』を発見することができた。この発見は21年度に復刻という形で成果を発表することになっている。島原第一小では、長崎県の訓育と標準語の指導の関連を示す資料を複写することができた。以上が、資料収集における成果である。執筆した論稿の中で本研究と関係するものは、(1)「I補論『沖縄教育』標準語教育関係記事一覧/『標準語教育』関係記事解題」、(2)「児童新聞『児童の産業』から見えるもの」、(3)「方言撲滅論」、(4)「方言札」である。(1)は、『近代沖縄における教育実践史に関する実証的研究』(平成18〜20年度科学研究費補助金(基盤研究C)研究成果報告書、研究代表:近藤健一郎)に掲載したもので、明治期からの標準語教育の言説や実践の動向を把握するための基礎作業として位置付けられるものである。(2)は、大正期に発行された『児童の産業』を分析したものであるが、子どもの作品の中に方言が使用されていないことを確認した。この事実が沖縄の綴方教育全体の傾向なのかどうかが今後の課題であり、そのための契機となるものである。(3)と(4)は、朝倉書店から発行される予定の『方言学事典』に書いたものであり、今後ふくらまして論文にする予定のものである。
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