2008 Fiscal Year Annual Research Report
フランスにおける国語現行カリキュラムの理念と実践:コレージュを中心に
Project/Area Number |
19530849
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Research Institution | The International University of Kagoshima |
Principal Investigator |
飯田 伸二 The International University of Kagoshima, 国際文化学部, 教授 (60289650)
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Keywords | フランス / 国語教育 / 文学教育 / 初期中等教育 / 詩 / 教科書 |
Research Abstract |
昨年度の研究の中心は,1)フランスで現在使用されているコレージュ用国語教科書の内容分析,2)初期中等教育修了試験の試験問題の調査であった。それぞれについて,昨年度の研究状況を報告する。 1)現在入手可能なフランスの国語教科書すべてについて,詩を扱った単元に的を絞り,詩がどのように扱われているかを調査した。具体的には,いかなる詩人,作品が採択されているかを,コレージュ第1学年を対象に調査,分析した。その結果,詩とは,詩人が言葉という道具を使って作り上げる<装置>,<構築物>であると解説する教科書が過半数を占め,収録作品も教科書の解説を例証する作品が多数収録されていることが明らかになった。フランスのコレージュ国語教科書の網羅的な研究は,ほとんど前例がなく,フランスの国語教育の現状を理解する上で,本研究の意義は大きい。また,フランスの教科書における詩の取り扱われ方と,日本教科書のそれとを比較・検討した。日本の国語教科書については,指導書の分析を取り入れることで,思春期にある生徒の不安定な心理状態を考慮する日本の国語教育の基本方針と,国語教育をあくまでも文学教育へのイニシエーションと捉えるフランスの国語教育との根本的な違いを具体的に考察できた。 2)試験問題集の翻訳・紹介作業。フランス国民教育省が作成した初期中等教育修了証書模擬問題集のおよそ4割を翻訳,紹介した。試験問題を通じてフランスにおける初期中等教育修了時における国語の達成度を計る研究は前例がなく,本研究の意義は大きいと考えられる。今年度は問題集の翻訳を終える予定である。
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Research Products
(3 results)