2007 Fiscal Year Annual Research Report
超重症児における微弱微細運動の発現と心拍数変動の生命活動上の意義に関する研究
Project/Area Number |
19530855
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
川住 隆一 Tohoku University, 大学院・教育学研究科, 教授 (20124208)
|
Keywords | 特別支援教育 / 重症心身障害 / 超重症児 / 重度・重複障害 / 不随意運動 / 心拍数 / 教育系心理学 |
Research Abstract |
この研究においては、第1に表面的には動き(自発的な動きのみならず働きかけによって誘発されるような動き)が全く見られない子どもに何らかの動きを引き出す方略、および、微弱ながら動き(「不随意的」と見なされやすい動き)がわずかに見られる子どもにおいてはその動きをさらに明確にする方略を明らかにする、第2に、それらの動きがその個体の生命活動にとってどのような意味があるのかを場面状況と行動文脈から明らかにし、さらにはその動きを育てることが教育的にどのような意味があるのかを検討することを目的にしてきている。今回の科学研究費交付期間における本研究の目的は以下の3点である。(1)超重症児に見られる微弱微細な動きがさらに増大する、あるいは、明確になるための支援方略を明らかにすること。(2)生体内情報としての心拍数変動を取り上げ、分析方法を吟味しつつ、働きかけの時間中に超重症児には何かしら特徴のある変動が生じているのか否かを明らかにすること。(3)この取り組みで観察された動きの発現と心拍数変動の生命活動上の意義を、場面状況との関連で検討すること。 本年度の取り組みの成果として、触振動刺激を中心とした触覚系・聴覚系に対する働きかけが有効である。この結果、これまでにほとんど観察されてこなかった微弱微細な動きの発現(1例においては、左手指の動きのみならず右手指の動き、1例においてはオトガイ部の動きのみならず右口角の動き)が注目されるようになった。心拍数変動としては、働きかけ後10秒前後の一過性心拍変動に注目するだけでなく、数分間にわたっての平均心拍数の変化や変動係数の変化に着目することが、対象児の応答反応を捉える上で有効であるようである。これらについては、現在も継続して分析中である。
|