2008 Fiscal Year Annual Research Report
超重症児における微弱微細運動の発現と心拍数変動の生命活動上の意義に関する研究
Project/Area Number |
19530855
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
川住 隆一 Tohoku University, 大学院・教育学研究科, 教授 (20124208)
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Keywords | 特別支援教育 / 重症心身障害 / 超重症児 / 重度・重複障害 / 不随意運動 / 心拍数 / 教育系心理学 |
Research Abstract |
この研究においては、第1に表面的には動き(自発的な動きのみならず働きかけによって誘発されるような動き)が全く見られない子どもに何らかの動きを引き出す方略、および、微弱ながら動き(「不随意的」と見なされやすい動き)がわずかに見られる子どもにおいてその動きをさらに明確にする方略を明らかにする、第2に、それらの動きがその個体の生命活動にとってどのような意味があるのかを場面状況と行動文脈から明らかにし、さらにはその動きを育てることが教育的にどのような意味があるのかを検討することを目的にしている。今回の科学研究費交付期間における本研究の目的は以下の3点である。(1)超重症児に見られる微弱微細な動きがさらに増大する、あるいは、明確になるための支援法略を明らかにすること。(2)生体内情報としての心拍数変動を取り上げ、分析方法を吟味しつつ、働きかけの時間中に超重症児には何かしら特徴のある変動が生じているのか否かを明らかにすること。(3)この取り組みで観察された動きの発現と心拍数変動の生命活動上の意義を、場面状況との関連で検討すること。本年度の取り組みの成果として、触覚系の働きかけを行ってきた結果、事例1においては、これまであまり見られなかった身体部位(右手)での動きの発現が多くなり、右手か左手を動かすことにより選択的にスイッチが入り2種類の玩具のいずれかを作動させることが可能となった。これにより活動を幅を拡げることができた。第2の事例においても、これまであまり着目されてこなかった部位(右口角)の動きの頻度が多くなるとともに、この動きの発現に対応して心拍数が減速方向に変化する現象が見いだされた。この現象は、いろいろな場面状況で発現しており発現要因を明確にするには至っていないものの、安静時間よりも何かしらの働きかけの間に生ずることが多いように見え、今後とも、注目したいと考えている。第3の事例においてはこれまで、何かしらの働きかけに対して、驚愕的・防御的反応の成分と考えられている加速方向の心拍数変動が多く見られていたが、静かな環境で、ゆっくりとした穏やかな働きかけを心がけてきた結果、加速方向の大きな変化が少なくなり、代わりに減速方向の変化や、加速しても比較的短時間で働きかけ前の水準に戻ることが多くなってきた。この結果、行動面からは明確にできない内的状態を推測することができるようになった。
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Research Products
(5 results)