2007 Fiscal Year Annual Research Report
軽度障害を伴う聴覚障害児の実態とその指導法に関する研究
Project/Area Number |
19530864
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
濱田 豊彦 Tokyo Gakugei University, 教育学部, 准教授 (80313279)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤野 博 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (00248270)
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Keywords | 聴覚障害児 / LD / ADHD / 高機能自閉症 / 全国調査 / 聾学校 / 発達障害 / 教材開発 |
Research Abstract |
(1)平成19年度には全国聾学校を対象としたアンケートで実態調査を行った。この調査には全国聾学校長会のバックアップがあり85%という高い回収率が得られた。調査の結果、75%の聾学校で発達障害を重要な課題としてとらえており、45%の学校で研修や外部機関との連携を開始していることが分かった。また、小学部中学部の児童生徒(2243名)を対象に文部科学省(2002)が実施した「学習と行動に著しい困難に関する調査」を行ったところ、32.2%が発達障害同様の困難をもつとの結果になった。聴児の結果(6.3%)に比べ明らかに高率である事が示された。 領域ごとの該当児童を小・中学部ごとに算出したところ、「学習面」の「話す」「読む」「書く」と、「多動性-衝動性」は中学部になると該当児が減少していたが、「学習面」の「推論」と、「「対人関係やこだわり等」は中学部になると該当児率は増加することが示された。学年が進むに連れ、学習場面での困難から対人関係が複雑になることによる困難の増大が示唆された。今後、発達障害を持つ聴覚障害児の困難の類型化を行い、典型例に対する困難の整理と支援方法に関してマニュアル化を目指す予定である。 (2)発達障害を伴う聴覚障害児12人を対象児に対して20回の縦断的指導を行った。その結果、手話等を活用して聴覚障害に関する配慮をした上であれば、発達障害に起因する認知面に配慮した教材開発や対人的理解を促すための指導が有効であることが示された。しかし、言語面に困難をもつLDの場合、聴覚障害のために音声入力に制限のあることが、その困難を一層重篤なものにすることも示唆された。
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