2008 Fiscal Year Annual Research Report
自閉症児のコミュニケーションブレイクダウンへの対処能力
Project/Area Number |
19530873
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
大竹 喜久 Okayama University, 大学院・教育学研究科, 准教授 (00304288)
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Keywords | 自閉症 / コミュニケーションリペア / アセスメント |
Research Abstract |
2語文以上の要求行動が見られる低機能自閉症児(N=12)を対象として、彼らのリペア方略について分析を行った。自由遊びの時間に、要求行動の自発とコミュニケーションブレイクダウンの機会を意図的に設定し、ブレイクダウンのタイプとして、「言葉による明確化要請」、「身振りによる明確化要請」、「注目そらし」、「誤解」の4つを準備し、それぞれ6エピソードずつ、計24のブレイクダウンの機会を与えた。分析対象は、ブレイクダウン直後のコミュニケーション行動(リペア行動)のみとした。結果、24のコミュニケーションブレイクダウンエピソードに対し、ほとんどの対象児は8割以上のエピソードでリペアを試み、当初の目的を達成しようとしていた。また、ブレイクダウンのタイプによって、リペア方略を調整している様子がうかがえた。例えば、「言語による明確化要請」に対しては、言語のみでリペアを試み、かつ、発話の語数が多くなる傾向が認められた。また、「誤解」に対しては、要求の対象についての情報を含むコミュニケーション手段を用いる傾向、聞き手や対象物に直接触れるといった非慣習的手段が多くなる傾向が確認された。今回の分析では、「身振りによる明確化要請」や「注目そらし」といったタイプのブレイクダウンに特有のリペア方略は見出せなかった。聞き手が引き起こすブレイクダウンに対して、無作為にコミュニケーション行動を続けているのではなく、むしろ、ブレイクダウンの社会的意味に合わせてリペアを試みている可能性が示唆された。
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