2009 Fiscal Year Annual Research Report
自閉症児のコミュニケーションブレイクダウンへの対処能力
Project/Area Number |
19530873
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
大竹 喜久 Okayama University, 大学院・教育学研究科, 准教授 (00304288)
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Keywords | 自閉症 / コミュニケーションリペア / インターベンション |
Research Abstract |
本研究では、身振りによるコミュニケーション行動が中心である自閉症男児1名(12歳)を対象として、シンボルカードを用いながら相手の誤解の内容に応じて修復するスキルの獲得をめざした指導を行い、その効果を検証した。対象児の好みの活動である、あるテレビ番組の2文字から成るタイトルロゴの色塗り活動を指導場面とした。対象児は、使用するペンのメーカー、色、太さに「こだわり」があったため、毎試行、どのメーカーの、どの色の、どの太さのペンを求めているのかを指導者は把握できた。指導者は、対象児からの身振りによるペンの要求に対し、ある試行時には求めていたペンを即座に渡し(以下、「スタンダード条件」と記す)、別の試行時には意図的に求めていたものとは異なるペンを渡した(以下、「リペア条件」と記す)。指導は、リペア条件において行われ、そこではモデルプロンプトによる時間遅延法が適用された。誤解の内容として、1属性誤解(メーカーのみの誤解、色のみの誤解、太さのみの誤解)、2属性誤解(メーカー+色の誤解、色+太さの誤解、太さ+メーカーの誤解)、及び3属性誤解(メーカー+色+太さの誤解)を設定し、1属性誤解から順に指導していった。実験デザインとしては、基準変更法を用いた。結果、対象児は、1属性及び2属性の誤解に対して、相手がどの属性を誤解しているかに応じてシンボルカードを指さすことができるようになった。時間の制約で、3属性の誤解についてはベースライン条件しか実施できなかったが、10試行中2試行において、シンボルカードを使用しながら修復することができた。相手の誤解に応じて、相手が理解しやすい手段でコミュニケーションブレイクダウンを修復することができる力を育てる上で、好みの活動や「こだわり」を生かすことが重要であることが示唆された。
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