2007 Fiscal Year Annual Research Report
特別な教育的支援を要する子どもたちの社会適応行動の評価方法と支援プログラムの開発
Project/Area Number |
19530879
|
Research Institution | Sakushin Gakuin University |
Principal Investigator |
服部 美佳子 Sakushin Gakuin University, 人間文化学部, 教授 (70438737)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
名越 斉子 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (30436331)
|
Keywords | 特別支援教育 / 発達障害 / 社会生活能力 / 社会適応行動 |
Research Abstract |
今年度は、特別な教育的支援を要する子どもたちが抱える社会性の困難や社会的適応上の問題について、小学校就学前から高等学校卒業程度の子どもの社会適応行動を評定するための社会適応行動尺度の開発に取り組んだ。まず、18年度後半に幼稚園年少・年中、小学校低学年・中学年・高学年、中学生、高校生の7年齢グループ(935名)からデータを収集したので、分析を行った。その結果、言語スキル、日常生活スキル、社会生活スキル、対人関係スキルの総得点は、いずれも年齢とともに上昇しており、全体的には子どもの発達的な変化を捉える指標になっていると考えられた。しかし、内的整合性を示すα係数の低いクラスタや7グループの値の推移が不規則なクラスタなどもあり、項目の削除・追加、項目内容の修正など、改良すべき点も明らかになった。19年度後半は、(1)幅広い年齢層に適用できる、(2)評定者が理解しやすい表現にする、(3)評定者が適切に評価できるような評価基準を設ける、の3点に留意しながら試行版尺度の修正作業を進めた。修正にあたっては、日本LD学会のポスター発表で研究者や学校関係者から得た意見も参考にした。また、少数の健常児群および障害児群(知的障害、知的障害を伴う自閉症、知的障害を伴わない自閉症など)に実施して使い勝手を確認した。健常児群と比べると、知的障害児のスキル獲得は全般に遅いこと、知的障害を伴わない自閉症は健常児と異なる順番で獲得するスキルがあることなどがわかった。これらは、開発中の尺度が特別な教育的支援を要する子どもたちの社会適応行動の把握や支援において有用な情報を提供しうることを示唆すると思われた。
|