2009 Fiscal Year Annual Research Report
特別な教育的支援を要する子どもたちの社会適応行動の評価方法と支援プログラムの開発
Project/Area Number |
19530879
|
Research Institution | Sakushin Gakuin University |
Principal Investigator |
名越 斉子 Saitama University, 教育学部, 准教授 (30436331)
|
Keywords | 社会適応スキル / アセスメント / 発達障害 / 知的障害 / 個別の指導計画 / 標準化 / 信頼性 / 妥当性 |
Research Abstract |
健常群2027名および特別な教育的ニーズのある群560名への調査結果をもとに社会適応の評価する検査の標準化を行い、統計特性の確認や換算表やプロフィール表の作成などの整備を行った。そして、3歳から18歳までの子どもに適用できる「社会適応能力検査」を完成させた。これまで社会適応を総合的に評価する尺度が存在せず、特別な教育的ニーズのある子どもの社全適応の評価や支援に困っていた教育現場や相談機関に役立つアセスメントツールを提供することができる点で大いに意義があると考えられる。 また、教育・相談機関に協力を依頼し、特別な教育的ニーズのある群への本検査の適用を行った。その結果、本検査の結果とWISC-III等から把握できる認知・行動特性との間に関連があることや、知能との関連はあるが知能指数と社会適応指数が乖離した事例が散見されることから、知能とは別に社会滴応の力を評価することの重要性が改めて示唆された。また、重度の知的障害のある人たちの測定知能は中学、高校段階以降停滞・低下することが知られているが、社会適応に必要な力は緩やかに上昇していくことが明らかとなった。重い障害のある子どもたちへの教育・支援を続けることの意義を再確認することができた。また、指導前後に本検査を用いることで子ども自身の成長のみならず、指導内容や方法の妥当性を評価することも可能であることが分かった。 これらの臨床適用研究の結果は、本検査が特別支援教育において重視されている個別の指導計画や個別の教育支援計画の作成に役立つことを示すと考えられる。さらに実用性の高い検査にするための改良作業を進めること、本検査の信頼性・妥当性の検証を続けること、本検査と対応した指導プログラムを作成し、教育現場に提供することが今後の課題であろう。
|