2008 Fiscal Year Annual Research Report
保育者の意思決定支援ツールを用いた児童虐待対応包括プログラムの開発
Project/Area Number |
19530881
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Research Institution | Nakamura Gakuen College |
Principal Investigator |
笠原 正洋 Nakamura Gakuen College, 人間発達学部, 准教授 (10231250)
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Keywords | 児童虐待対応包括プログラム / 保育所保育士 / 発見・通告プロセス / 親対応プロセスモデル / 援助要請 / コンジョイント分析 / 理解到達度評価尺度 / 虐待対応自己効力感尺度 |
Research Abstract |
本研究の目的は,保育者用の「児童虐待対応包括プログラム」を開発することである。 1.虐待対応フローチャートの精緻化 [研究1]虐待対応プロセスにおける発見と通告プロセスの因果モデルを,現職保育士129名のデータを用いて共分散構造分析により検討した。仮説通りのプロセスが確認された(GFI=.733, AGFI=.682, RMSEA=.074)。[研究2]文献による親対応に関する支援行動の抽出:クレームや苦情処理に関する9文献から1,391の支援行動を抽出した。KJ法により親対応プロセスモデルを仮説化した。 [研究3]保育士60名に対して,親対応プロセスに関する事例情報を収集するために半構造化面接を実施した。45名(75%)の保育士が親対応(障害受容も含む)に強い困難を感じていた。研究2で仮説化された親対応プロセスモデルにより保育士の事例を検討したところ,{対話ゴール設定}{対話行動調整}プロセスに問題を抱えていることが推測された。[研究4]保護者240名(回収数143)を対象に,保育士への援助要請を規定する要因をコンジョイント分析より検討した。援助要請の規定因は「保育面の能力(44.6%)」と「子どもの行為反応(30.6%)」であり,「経験年数」や「応答能力」は24.8%にすぎなかった。保育士による保護者支援の基本が子どもの保育にあることを初めて実証したデータである。 2. 診断評価尺度の妥当性・信頼性の検証 児童虐待対応包括プログラムの理解到達度を測定する3種類(支援概要10項目,発見と通告14項目,親子支援15項目)の評価尺度及び児童虐待対応に関する自己効力感尺度(改訂版)44項目を開発した。 3.児童虐待対応包括プログラムの最適化を図るための実証的研究 虐待対応包括プログラム(試作版;80分14回)」を,学生116名を対象に実施し効果検証を行った。自己効力感は事後にかけて有意に向上した。この向上に寄与した要因は親子支援の理解到達度だった(β=.423)。また専門機関に対する呼応性不安も有意に低下したが,親対応に関する予期不安には効果は認められなかった。
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Research Products
(4 results)