2009 Fiscal Year Annual Research Report
Hilbert-Speiser型の代数体とStickelberger Ideal
Project/Area Number |
19540005
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
市村 文男 Ibaraki University, 理学部, 教授 (00203109)
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Keywords | 整数環 / 正規整数底 / Hilbert-Speiserの定理 / Stickelberger ideal |
Research Abstract |
平成21年度の科研費研究は極めて順調に進んだ。特に「研究の目的」に述べた主要部分は完成し、それをJournal of Mathematical Society of Japan(62号)に発表した。以下、その概要を述べる。 Pを素数とする。代数体F上の全てのtameなp次巡回拡大が正規整数底を持つとき、FはHilbert-Speiser型条件H(p)を満たすという。この条件を満たす代数体の特徴付け(決定)が研究の第1目的であった。20年度までの科研費研究によって虚2次体で条件H(p)を満たすものを決定した。21年度はCM-Galois体でこの条件を満たすものを決定した。Pが5以上の場合で2次でないこの様なFが条件H(p)を満たすのは、p=5でFが12分体の場合に限るというのが主定理である。結果として11以上のpに対してこの条件を満たすCM-Galois体は存在しない。論文の最後に、p=11と13の場合にこの条件を満たす実アーベル体の例をそれぞれ1つ与えた。代数体全部の中に、17以上のpで条件H(p)を満たすものが存在するかは残された問題である。 主定理の証明のアウトラインを述べる。Tameなp次巡回拡大の整数環の"realizable classes"についてのMcCullohの定理が基本である。Greither達は,1999年に、これを用いてFがH(p)を満たすためのobstructionの一つはFにおけるpの分岐であることを示した。これにより、pが不分岐な場合に限定してよいことになる。代数FがCM体の場合には、これに付随する諸々のものに複素共役が自然に作用している。上述のMcCullohの定理を用いて、この複素共役が第2の大きなobstructionであることを示した部分がポイントである。その際、あるStickelberger elementが重要な働きをしている。
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Research Products
(4 results)