2007 Fiscal Year Annual Research Report
無限次元の代数群とり一環の研究、およびその物質科学・生命科学への応用
Project/Area Number |
19540006
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
森田 純 University of Tsukuba, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (20166416)
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Keywords | 代数群 / 単純性 / 双建物理論 / リー環 / タイル張り / 双代数 |
Research Abstract |
無限次元代数群であるカッツ・ムーディ群の構造に関して、最近の研究動向を把握するとともに、その単純性に関する準備研究を行った。有限体の場合に成功した最新先行研究をベースに、双建物理論を研究し、無限体の場合の解明に向けて第一歩を踏み出すことができた。また、局所拡大アフィン・リ一環に関しては、分類を完成する段階まで到達し、このテーマについては.ほぼ研究の目標は達成できた。あとは詳細をまとめて、研究成果を発表するのみである。さらに、関連した研究として、可換代数上の低階数のリ一環の構造、特に種々の共役構造に関する研究を最終的に完成させ、出版した。これは、拡大アフィン・リ一環の完全分類の基礎になる研究で、避けては通れないものであるが、同型問題という大きなテーマが残っていて、克服すべき困難さがある。そこに一定の光を当てる研究成果を得ることができた。関連した研究として、sl_2の包絡代数について、今までとは全く異なる視点に基づいて、新たな基底を提示することができた。これは、包絡代数に内在する代数構造や一般表現の解明に新しい道を拓く研究成果を得たことになる。さらに、双代数を用いて、単語と1次元タイル張りの特徴づけを与えることに成功し、新たな境地を開拓する研究を開始し、発展させる足がかりを得た。これは、DNAなどの長大な文字列から得られる情報を、純粋数学的に扱うことが可能であることを示唆していて興味深い。文字列、代数系、表現構造、分解公式、組合せ構造が一体となって、非常に実り豊かな世界が広がっている。さらに、これらが高次元にも拡張可能であることも判明し、今後の研究の展開が大いに期待される。また、数値化にもある程度の予備実験を行い、ここでの代数的アプローチが相当に有効であることも確認できた。4年計画の初年度としては順調な滑り出しで、ほぼ当初の想定どおり、研究が推移している。
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