2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19540010
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
松田 茂樹 Chiba University, 大学院・理学研究科, 准教授 (90272301)
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Keywords | 数論幾何 / 分岐理論 / p進解析 |
Research Abstract |
剰余体が正標数の閉体上の多変数の巾級数体であるような正標数の完備離散付値体の上のp進微分加群で良い性質を持つものに対し,Christol-Mebkhoutのオリジナルのフィルトレーションに近い形での高次元化の問題および,階数1の微分加群に付随するp進微分加群の具体的な計算を行った。 前者については,Xiaoによるプレプリントで,ほぼ同様の問題が異なるアプローチを用いて解かれている。が,彼らの手法は古典的な剛解析空間を使い,巾単元の持ち上げを考察することによって連結成分を比較するのに対し,我々の手法は形式スキームを使うもので,より代数幾何的な構成が可能であるため,剛解析空間を用いたp進的な手法による精密化されたスワン導手の構成問題に関連して,本研究にはまだ独自の意義があると考えられる。また,後者については,関連する問題がPulitaとChiarellottoとの共著のプレプリントで扱われており,非常に参考になった。特に階数1の場合の精密化された導手の計算に進展があった。また,逆に階数の高いガロア表現,特にp巾の非可換有限群を通して作用するガロア表現に対応する微分加群の特殊な族についても実例計算を行った。 結果として我々自身の研究課題の今年度中の解決はできなかったが,問題が整理されて,他の関連する理論との関係がわかり,より豊かな理論の可能性が見えてきたという点で進展があったと言える。
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