2008 Fiscal Year Annual Research Report
頂点作用素代数の表現論における新展開とその応用に関する研究
Project/Area Number |
19540011
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松尾 厚 The University of Tokyo, 大学院・数理科学研究科, 准教授 (20238968)
|
Keywords | 代数学 / 数理物理 / 表現論 / 共形場理論 / 頂点作用素代数 / デザイン |
Research Abstract |
これまでの研究によって,頂点作用素代数の表現論をリーマン面上の共形場理論に応用するにあたっては,普遍展開環を積極的に利用して研究を進めるのが良いと考えられる。それを遂行するにあたり,適切な有限性条件を設定して研究する必要があるが,そのためには頂点作用素代数のフィルター付けの研究が重要となってくる。これについては,主に代数的な観点からの研究が行われてきたが,それらの研究と本研究との比較を行なうため,連携研究者の荒川知幸氏と協力して,頂点作用素代数上では異なるが,普遍展開環にまで持っていくと同じになるようなフィルター付けについて考察を行った。実際に荒川氏の研究で用いられているフィルター付けがそのような例となっており,その代数的な性質とリーマン面上の共形場理論の研究との整合性を調べることが今後の課題と考えられる。 ところで,リーマン面上の共形場理論への応用に関しては,種数2の場合にアイルランド国立大学ゴールウェイ校の Michael Tuite 氏とカリフォルニア大学サンタクルズ校の Geoffrey Mason氏が共同で研究を行っているが,そこで取り扱われている例は,ハイゼンベルク代数から構成される頂点作用素代数に基づいて具体的に構成されるもので,本研究における取り扱いとは大きく異なっている。そこで,両氏を招聘して打合せを行い,彼等の研究と本研究を比較して本研究で扱う有限性の影響する部分について考察を行った。 さらに,研究代表者が以前に行なった頂点作用素代数の対称性から跡公式を導く研究に関して,上記の Tuite 氏とカンザス州立大学の GeraId Hoehn 氏が,独立にそれぞれの見地からの一般化を行なっているが,この点についても Tuite 氏と打合せを行い, Hoehn 氏の考案した共形デザインの概念との比較を行なった。跡公式に関しては,台湾國立成功大學の林正洪氏や愛知教育大学の山内博氏とも打合せを行ない,二つの一般化の間の関係を明確にするとともに,ムーンシャイン加群や関連する種々の頂点作用素代数の自己同型群の研究への応用に取り組んだ。
|
Research Products
(1 results)