2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19540021
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中西 知樹 Nagoya University, 大学院・多元数理科学研究科, 准教授 (80227842)
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Keywords | T-system / Y-system / dilogarithm / 団代数 / 団圏 / 量子群 |
Research Abstract |
平成20年度より量子群に由来する関数方程式系であるT-system/Y-systemと団代数/団圏との関連の研究を始めた。今年度はこれについて大きな進展がありその成果の一部を5編のプレプリントとして発表した。概要は以下のとおり。 1.量子Kac-Moody代数の量子アフィン化に付随するT-system, Y-systemと団代数について。T-systemとY-systemは90年代より,Zarnolodchikov(91), Kuniba-Nakanishi(92), Ravanini-Tateo-Valleriani(93), Kuniba-Nakanishi-Suzuki(94)等によって導入された関数方程式系である。Hernandez(05)は、tamely laced条件をみたす量子Kac-Moody代数の広いクラスの量子アフィン化に対してT-systemの拡張を与えた。中西は国場(東大)、鈴木(静岡大)との共同研究により、対応するY-systemを定義し、さらに。これらのT-system、Y-systemを団変数と係数の関係式として持つような団代数を構成した。 2.dilogarithm恒等式およびT-system/Y-systemの周期性の団代数と団圏による証明について。80年代後半,Bazahnov, Kirillov, Reshetikhinらは、可積分格子模型の熱力学極限を調べることにより、共形場理論の中心電荷がRogers dilogarithm関数により表示されることを見いだした。この予想は、Rogers-Ramanujan型恒等式、量子アフィン代数、3次元双曲幾何、などと関連し、90年代に精力的に調べられたが、部分的な証明にとどまっていた。中西は、Frenkel-Szenes(95), Fomin-Zelevinsky(03,07), Chapoton(05), Keller(08)の先行結果やその手法、アイデアを統合することにより、simplylacedの場合にdilogarithm恒等式の証明を与えた。さらに、井上(鈴鹿医療大)、伊山(名大)、Keller(パリ7大)、国場(東大)との共同研究により、nonsimply lacedの場合のT-systemおよびY-systemの周期性とdilogarithm恒等式の証明を与えた。
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