2007 Fiscal Year Annual Research Report
ホッジ加群の理論の代数幾何における新たな応用について
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19540023
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
斎藤 盛彦 Kyoto University, 数理解析研究所, 准教授 (10186968)
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Keywords | ホッジ加群 / スペクトラム / チャウ・キュネット分解 / 交叉コホモロジー / ウェイト・フィルトレーション |
Research Abstract |
まずニース大学のディムカ、メゾノーブの両氏との特異点のスペクトラムに関する共同研究においては、スペクトラムの定義を完全交叉とは限らない一般イデアルの場合に拡張し、さらに単項イデアルについては具体的な計算公式を得る事に成功した。これは、b-函数や乗数イデアルが一般イデアルの場合に定義されている事から、予想されて当然の事ではあるが、ホッジ加群の理論を本質的に使う事なしには不可能だったものである。現在はこれを更に、完全交叉でない曲面の特異点の場合に計算する事を目指している。 次にチャウ・キュネット分解の一般化については、フランスのリール大学のヤン・ナーゲル氏と共に錐束、即ちファイバーが2次曲線の写像の場合に共同研究を行い、分解の射影子を具体的に構成する事に成功した。これは、フランスのボーヴィルが30年位前に彼の学位論文において得た、錐束のチャウ群に関する結果を更に精密化するものであるが、ここでは発見的考察においてホッジ加群の理論が本質的な役割を果たした。 またグルノーブル大学のクリス・ペータース氏との共同研究においては、ホッジ構造の変形に付随した交叉コホモロジーと普通のコホモロジー上のウェイト・フィルトレーションとの関係を証明した。これは、かつて筆者が証明した交叉コホモロジーの純性定理から当然期待されるもので、多様体が代数的な場合には実際ホッジ加群のウェイトの一般論から比較的容易に導き出されるが、代数的でない場合にはホッジ複体の理論が必要になるなど、かなりの技術的困難を伴う。
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Research Products
(6 results)