2008 Fiscal Year Annual Research Report
ホッジ加群の理論の代数幾何における新たな応用について
Project/Area Number |
19540023
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
斉藤 盛彦 Kyoto University, 数理解析研究所, 准教授 (10186968)
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Keywords | ホッジ加群 / ネロン模型 / ホッジ予想 / 許容法函数 / 超平面配置 / スペクトル / 跳躍係数 |
Research Abstract |
まずカナダのバンフにおけるホッジ理論の研究集会に参加して、ブロスナンやパールスタインらとホッジ予想やネロン模型に関する様々な議論を行った。その結果、グリフィス、グリーン、ケールの底空間が一次元の場合のネロン模型の理論を、ホッジ加群の理論を使う事により底空間が極めて一般的な場合に拡張する事に成功した。その後、この研究集会において話題となったホッジ類の超曲面切断への制限に関するトーマス理論についての研究を行い、消滅輪体の間の関係に付随したグリフィス輪体の一般化等を使う事によりその精密化を得た。更に、認容法函数にコホモロジー類を対応させる写像について研究し、それが全射でない例を構成した。これは上記のトーマス理論の精密化と関係して、ホッジ予想の反例に繋がる可能性があるのではないかと危惧されているところではある。 その他に、一般ファイバーが非特異な函数の消滅輪体についてディムカ氏との共同研究を行い、それが多様体の特異点についてもかなりの情報を含んでいる事を示し、疑似半安定退化の場合の消滅輪体の計算なども行った。これは、グリフィス、グリーン、ケールの論文において特殊な場合に行われた計算を、完全に一般化するものである。跳躍係数やスペクトルに関してはブドゥール氏との共同研究を行い、超平面配置の場合に組合せ論的な量からそれらを計算する公式を次元が低い場合に得た。代数サイクルに関しては、花村氏と共に連接層のグロタンディック群の底変換的引戻しを定義し、これが代数サイクルのギシン写像に対応する事を示した。これは現在の文献のなかで欠けているところを補ったものである。
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Research Products
(3 results)