2007 Fiscal Year Annual Research Report
楕円コホモロジーと楕円カラビ・ヤウ多様体の数え上げ幾何:弦双対性の理解を目指して
Project/Area Number |
19540024
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
河合 俊哉 Kyoto University, 数理解析研究所, 准教授 (20293970)
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Keywords | カラビ-ヤウ多様体 / 弦理論 / ボーチャーズ積 / 楕円種数 / 双対性 |
Research Abstract |
IIA型超弦理論を3次元Calabi-Yau多様体Xにコンパクト化して得られる物理理論は重力を含む超対称性理論であり、BPS状態と呼ばれる特徴的な状態が存在する。このようなBPS状態の足し上げの生成関数をBorcherds積の拡張として捉え、そのXの数え上げ幾何としての解釈を探り、それにより弦双対性の理解を深めるのが本研究の主たる目標である。特にXが楕円ファイバー構造を有する場合に明示的に議論が出来、生成関数の「部分積」を具体的に求めることに成功している。現在はその保型性や楕円コホモロジーとの関係、物理的解釈などを調べる事に注力している。研究対象は豊富な数学的、物理的内容を含んでいることは間違いないと信じているが、それが故複雑であり、残念ながら成果の公表には未だ時間を要すると考えている。 関連した技術的問題として、結節点を持つ曲線上の渦のモジュライ空間のオイラー標数を計算する問題を計算するという仕事を以前していたのであるが、今回この結果を曲線上に尖点も存在する場合にも拡張することができることが分かり、その結果はプレプリントにまとめた。これはGopakumar-Vafaにより提唱されている描像と我々が提唱しているD2-D0ブレーンの渦による描像との整合性を確かめた事になっている。 また、独立した話題ではあるがN=2超共形場の理論に対してこれまでよく考えられてきた楕円種数のtwisted versionを考察することの有用性に気付き、その研究を開始した。
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