2008 Fiscal Year Annual Research Report
楕円コホモロジーと楕円カラビ・ヤウ多様体の数え上げ幾何:弦双対性の理解を目指して
Project/Area Number |
19540024
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
河合 俊哉 Kyoto University, 数理解析研究所, 准教授 (20293970)
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Keywords | カラビーヤウ多様体 / 弦理論 / ボーチャーズ積 / 楕円種数 / 双対性 |
Research Abstract |
IIA型超弦理論を3次元Calabi-Yau多様体Xにコンパクト化して得られる物理理論は重力を含む超対称性理論であり、BPS状態と呼ばれる特徴的な状態が存在する。このようなBPS状態の足し上げの生成関数をBorcherds積の拡張として捉え、そのXの数え上げ幾何としての解釈を探り、それにより弦双対性の理解を深めるのが本研究の主たる目標である。特にXが楕円ファイバー構造を有する場合に明示的に議論が出来、生成関数の「部分積」を具体的に求めることに成功しているが、その保型性や楕円コホモロジーとの関係、F理論との関係に関して理解が前年度より大部進んだ。しかし、研究対象は豊富な数学的、物理的内容が絡み合っており、成果をまとめるには次年度までかかることになった。一方関連した技術的問題として、結節点および尖点を持つ曲線上の渦のモジュライ空間のオイラー標数を計算する問題を計算するという仕事を前年度までに仕上げていたのであるが、これをAbelian Vortices on Nodal and Cuspidal Curvesという題の論文にする作業をほぼ完成させた。また、独立した話題ではあるがN=2超共形場の理論に対してこれまでよく考えられてきた楕円種数をHeisenberg群の作用でtwistするという問題を一般的に考察し、副産物として特にWittenによる古い予想の証明をすることができた。この結果はTwisted Elliptic Genera of N=2 SCFTs in Two Dimensionsという論文として公表するつもりであるが、その原稿をほぼ完成させた。
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