2009 Fiscal Year Annual Research Report
楕円コホモロジーと楕円カラビ・ヤウ多様体の数え上げ幾何:弦双対性の理解を目指して
Project/Area Number |
19540024
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
河合 俊哉 Kyoto University, 数理解析研究所, 准教授 (20293970)
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Keywords | カラビーヤウ多様体 / 弦理論 / ボーチャーズ積 / 楕円種数 / 双対性 |
Research Abstract |
IIA型超弦理論を3次元Calabi-Yau多様体Xにコンパクト化して得られる物理理論は重力を含む超対称性理論であり、BPS状態と呼ばれる特徴的な状態が存在する。このようなBPS状態の足し上げの生成関数をBorcherds積の拡張として捉え、そのXの数え上げ幾何としての解釈を探り、それにより弦双対性の理解を深めるのが本研究の主たる目標であった。特にXが楕円ファイバー構造を有する場合に明示的に議論が出来、生成関数の「部分積」を具体的に求めることには前年度までの研究で成功していたが、その保型性や楕円コホモロジーとの関係、F理論との関係に関しての理解が大幅に進み、これまでの成果を論文としてまとめる作業に取り掛かった。しかし、研究対象は豊富な数学的、物理的内容が絡み合っているため、論文原稿を作成する作業に手間取り、不本意ながら年度内に完成させるまでには至らなかった。一方関連した技術的問題として、結節点および尖点を持つ曲線上の渦のモジュライ空間のオイラー標数を計算し、この結果とGopakumar-Vafa予想との整合性を議論し、これをAbelian Vortices on Nodal and Cuspidal Curvesという題の論文にまとめた。また、独立した話題ではあるがN=2超共形場の理論に対してこれまでよく考えられてきた楕円種数をHeisenberg群の作用でtwistするという問題を一般的に考察し、副産物として特にWittenによる古い予想の証明をするとともに五重積公式のADE拡張を証明した。この結果はTwisted Elliptic Genera of N=2 SCFTs in Two Dimensionsという題でプレプリントとして公表した。
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