Research Abstract |
ユークリッド空間内の格子に付随して種々の不変量が定義される.その代表的なものとして,Hermite定数,Hemite-Rankin定数,Berge-Martinet定数がある.これらの定数についての研究は,格子球パッキング問題や,コード理論,Grassmann多様体上のデザインなど他領域の研究とも密接な関連をもつ.Hemite-Rankin定数は, Rankinが1953年の論文でHermite定数の自然な拡張として導入したもので,階数nの格子の判別式のn/k乗と,階数kの部分格子の判別式の比の最大値として定義される値で,これをγ_<n,k>と表す.k=1の場合がn次元Hermite定数と一致する.k〓2のとき,これまでに知られていたγ_<n,k>の値は,Rankinが求めたγ_<4,2>=3/2だけであった.今年度の研究では,Poor-Yuenによって求められた,5次元と7次元のBerge-Mrtinet定数の値から,Rankinの不等式やBerge-Martinetによって示された種々の不等式を組み合わせることにより,γ_<8,k>(k=2,3,4)とγ_<6,3>の値を決定することができた(沢谷一臣,奥田健二との共同研究).一般に双対関係γ_<n,k>=γ_<n,n-k>が知られているので,既知のγ_<8,1>と合わせれば,8次元のHermite-Rankin定数はこれですべて決定されたことになる.これらの結果と値を決定するために使用された論法は,Meyerにより代数体上の一般Hermite定数の値の決定にも応用されている.
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