2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19540026
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
渡部 隆夫 Osaka University, 大学院・理学研究科, 教授 (30201198)
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Keywords | エルミート定数 / 格子球充てん問題 |
Research Abstract |
n次実対称行列からなるベクトル空間Vの中で,正定値対称行列全体のなす開凸錘をPとする.P上定義される算術的最小関数の被約行列式による商はエルミート関数とよばれ,その極大値の決定は格子球充てん問題における基本問題の一つである.極大値を与える点は,Voronoiの定理により明確に特徴付けられており,それはperfectionとeutaxyとよばれる二つの性質により記述される.算術的最小関数と被約行列式はP上のタイプ1関数と呼ばれる,P上の正値関数で半線形性と凹性をみたす関数の族に含まれる.平成21年度の研究では,エルミート関数の定義において被約行列式をタイプ1関数に置き換えた場合に,Voronoiの定理の一般化が成り立つかどうかを調べた(沢谷一臣との共同研究).その結果,タイプ1関数が微分可能かつstrictly log concaveであれば,perfectionとeutaxyに類似のある種の性質が極大値をとるための必要十分条件を与えることが解った.更に,タイプ1関数全般について,Pのカーネルと呼ばれる領域との対応関係を確立し,エルミート的定数の存在,その双対概念等について一連の結果を導き出した.この研究成果は,Voronoi理論の研究の裾野を広げるものであり,Ryshkov領域の一般化,k-perfect formの幾何的特徴付け,symmetric coneへの理論の拡張等の研究のための一つのアプローチを与える.
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Research Products
(3 results)