2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19540033
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
今野 均 Hiroshima University, 大学院・理学研究科, 准教授 (00291477)
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Keywords | 量子群 / アフィン・リー環 / 楕円関数 / 超幾何級数 / アフィン・ヘッケ環 / K-群 / ホップ亜代数 |
Research Abstract |
前年度に得たA^(1)_N型楕円量子群U_{q, p}(A^(1)_N)の定式化をB^(1)_N型アフィンリー環の場合へと拡張するための準備として,次の成果を得た. 1. アフィン量子代数U_q(B^(1)_N)の通常のドリンフェルト生成元として含まれるN個のボソンは単純ルート型のボソン(ハイゼンベルグ代数の生成元)であるが、面型楕円R行列に対してRLL-関係式を満たすL-作用素を定式化するためには、基本ウェイト型のボソンが必要である。その構成法を見出した。さらに、B^(1)_N型の場合にはベクトル表現が2N+1次元であるので、N個のボソンの適当な1次結合によりウェイトベクトルに相当する2N+1個のボソンを構成する必要がある。その構成法も見出した。これらの構成法は他の型のアフィンリー環の場合へも適用できると期待している。 2. 楕円関数を構造関数とする関係式を満たすU_{q, p}(B^(1)_N)の楕円カレント(生成元の生成母関数)を構成した。 3. アフィン量子代数やA^(1)_N型楕円量子群に対する結果から、B^(1)_N型の楕円量子群のL-作用素はハーフカレントと呼ばれる楕円カレントのある種の積分変換をガウス分解の形に組み上げることで構成できると予想されている。この積分変換の核を決める一般的な原理はまだ知られておらず、RLL-関係式をたよりに試行錯誤で決めるしかない。目下のところ部分的に決定が進んでいる。 今後,L-作用素の構成を完成させ、楕円量子群U_{q, p}(B^(1)_N)をホップ亜代数として定式化する。また頂点作用素やB^(1)_N型変形W代数の導出を行う計画である。 また、新しい方向への発展として、A^(1)_N型アフィンヘッケ環を用いて楕円量子群U_{q, p}(A^(1)_N)のq-フォック空間への作用が構成できることを見出した。これは楕円量子群に対するある種のシューア双対とみることができる。また、アフィン量子代数のq-フォック空間上の表現は、えびら多様体の同変K群上の表現と同値であることが知られており、この対応を楕円量子群の場合へ拡張することは、その存在が期待される対応する楕円コホモロジー理論の構築への手がかりになると思われる。さらには、マクドナルドの対称多項式理論の楕円関数型理論の構築とも密接に関係してくると期待される。
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Research Products
(4 results)