2008 Fiscal Year Annual Research Report
数式処理ソフトを利用した保型形式と保型関数の理論の研究
Project/Area Number |
19540040
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小池 正夫 Kyushu University, 大学院・数理学研究院, 教授 (20022733)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂内 英一 九州大学, 大学院・数理学研究院, 教授 (10011652)
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Keywords | 2進的な保型形式 / 級数展開 / フーリエ係数 |
Research Abstract |
保型関数のフーリエ係数の2進的な性質を調べた。アトキンがモジュラー不変量j(z)に適用した方法を、レペル2の保型関数体の生成元fで無限遠点のカスプで1位のゼロ点、有理点0で1位の極をもつものに適用して2進的な保型形式Fを構成した。この2進的な保型形式Fは調べるのに最適なことがわかった。Fをfの2進的なべき級数として級数展開したときのn次の係数として2進数a(n)が定められる。この係数a(n)はフーリエ係数とは異なり、今まで注目されていなかった。ところがその2進的位数を計算機を利用して数値実験をしてみると、それを具体的に記述する公式の予想が得られ、さらに証明もみつかった。j(z)から議論するのではなくて,fに注目することが進展をもたらした。またフーリエ係数ではこのような公式は期待もできない。アトキンがモジュラー不変量j(z)から構成した2進的な保型形式とこのFとの関係を調べることもできた。それは一致していた。どのような保型関数がアトキンの方法を適用して2進的な保型形式を構成したときに、それがFと一致する条件も得られた。この議論の鍵になるのは、fの満たす位数2のモジュラー方程式が持っている性質にあることもわかった。モジュラー関数で、それが満たす位数2のモジュラー方程式が似たような性質を満たしているものが他にも存在している。例えばレベル6のある保型関数がそのようなものである。これから構成される2進的な保型形式は上のFとは異なっている。ここで開発した方法で2進的な保型形式を今までにない視点で調べられる可能性がでてきた。これまでの議論は2進的な保型形式が対象であったが、3進的、5進的な保型形式でも同様の現象があることが計算機による数値実験で確かめられている。それらを証明することがこれからの課題である。
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