2009 Fiscal Year Annual Research Report
数式処理ソフトを利用した保型形式と保型関数の理論の研究
Project/Area Number |
19540040
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小池 正夫 Kyushu University, 数理学研究院, 教授 (20022733)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂内 英一 九州大学, 数理学研究院, 名誉教授 (10011652)
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Keywords | フリッケ群 / マッカイ・トンプソン級数 / 超特異多項式 / 保型関数 / 3進的保型形式 |
Research Abstract |
モジュラー群に関する保型関数j(z)に対して、アトキンの方法で2進的な保型形式を構成し、その興味ある性質を昨年見つけ、その結果を"On 2-adic modular forms"の題で論文にまとめ、Kyushu J. Math.に掲載が決定された。3進的保型形式について同様な性質を求め、重要な性質と予想を得たが、予想の最後の証明が2進的な場合のアイデアが使えないことがわかり、別のアイデアを試行している。レベル2のフリッケ群に関する保型関数t2A(z)はマッカイ・トンプソン級数の視点では、j(z)が単純群モンスターの単位元に対応していて、t2A(z)は位数2の元2Aに対応している。金子-ザギエは超幾何型のK-Z微分方程式を考察することでj(z)の研究に新しい境地を開いた。その一つが標数pの楕円曲線で超特異なもののj-不変量を根にもつ多項式(超特異多項式と呼ぶ)を構成する新しい方法を見つけた。私はレベル2のフリッケ群の場合に超幾何型の微分方程式の解をガウスの超幾何関数を用いて具体的に表す結果を得ていたので、それを利用してレベル2のフリッケ群に付随する標数pの不変微分を有限体の超幾何多項式で計算することが可能であることを見つけた。これから超特異多項式をレベル2のフリッケ群にも定義できた。t2A(z)に対するクロネッカーの合同関係式を使えば、この超特異多項式も素体上高々2次の方程式の根であることが証明できる。超特異多項式の根がすべて素体に含まれるという性質が成り立つ素数の集合は、ベビーモンスターと呼ばれる散在的単純群の位数を割る素数の集合と一致することも観察できた。これはj(z)と単純群モンスターとの間に成り立っていた関係なので、それとの類似性がはっきりと見えた。単純群モンスターの中で2Aの元の中心化群はベビーモンスターと関係があることから、この事実が説明できるかは未知の問題として残る。
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