2008 Fiscal Year Annual Research Report
非正則 Eisenstein 級数の挙動と q 超幾何関数論
Project/Area Number |
19540049
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
桂田 昌紀 Keio University, 経済学部, 教授 (90224485)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野田 工 日本大学, 工学部, 専任講師 (10350034)
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Keywords | Eisenstein級数 / q超幾何関数 |
Research Abstract |
以下s=σ+itを複素変数,z=x+iyを複素上半平面のパラメタとするとき,正定値二次形式|u+vz|^2に付随してそのEpsteinゼータ関数ζz^2(s ; z)が,ζz^2(s ; z)=Σ'^∞_<m, n=-∞>|m+nz|^<-2s>(以下,和Σ'においては|・|=0となる項を除く)及びその全s平面の有理型関薮への接続として定義される.さらに,偶数k〓0に対して,SL_2(Z)に付随する(重さkの)非正則Eisenstein級数E_k(s ; z)がE_k(s ; z)=(1/2)y^sΣ_<c, d=1>(cz+d)^<-k>|cz+d|^<-2s>(Res>1)及びその全s平面の有理型関数への接続として定義されるが,この関数は現代数学の様々な局面に現れ,特にそのFourier展開は,保型形式論・二次形式論・Laplace作用素論等とも関連して多角的な解釈がなされている.以下ζ(s)でRiemannゼータ関数を表すとき,研究計画調書にも記したとおり,k=0の場合について成立する関係式E_0(s ; z)=y^sζz^2(s ; z)/2ζ(2s)によって,本研究代表者が以前導いたζ_z^2(s ; z)の漸近展開からE_0(s ; z)の漸近展開への直接的な移行が可能となる.昨年度から今年度に亙る研究では,ここで得られたE_0(s ; z)の漸近展開にある種の微分作用素を逐次作用することで,E_k(s ; z)のy→+∞における完全漸近展開の導出に成功した.この展開からは,E_k(s ; z)のFourier級数展開や種々の特殊値の閉じた形の明示公式,また(準)正則Eisenstein級数のq-seriesによる展開,さらにはE_k(s;z)が重みkのnon-Euclidian Laplacianの固有関数になることなどの直接的証明など,数多くの新たな知見が得られた.結果は論文“Differential actions on the asymptotic expansions of non-holomorphic Eisenstein series"として纏められ,欧文学術雑誌に掲載予定である.
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