2008 Fiscal Year Annual Research Report
p進楕円ディオファントス近似を用いたabc予想への新しい橋渡し
Project/Area Number |
19540053
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
平田 典子 (河野 典子) Nihon University, 理工学部, 教授 (90215195)
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Keywords | abc予想 / 楕円対数一次形式 / p進楕円対数一次形式 / ディオファントス近似 / 整数解 / 指数方程式 / 不定方程式 / 楕円曲線 |
Research Abstract |
p進対数一次形式の下からの評価がabc予想への応用を与えることは良く知られており、指数関数の逆関数である対数の一次形式について研究されてきた.一方、指数関数ではなくワイエルストラスの楕円ペエ関数の逆関数としての楕円対数の一次形式からも、類似の議論がHall予想などから存在し得る.楕円対数の一次形式の下からの評価というディオファントス近似において、研究代表者とS.Davidとの共同研究により,いわゆる最良評価すなわち理論的に最も良い評価が出版された.下記の業績に記された「Linear forms in elliptic logarithms, Journal fur die reine und angewandte Mathematik, Vol.628(March2009),pages37-89」の論文である.この評価はアルキメデス付値に対するものである.また、上記の研究では楕円対数関数が定義され、そのテイラー展開の係数の代数的評価が鍵となっている.これらはやはりS.Davidとの共同研究として、「Logarithmic Functions and Formal Groups of Elliptic Curves, Diophantine Equations, Tata Institute of Fundamental Research, Narosa Publishing House,2008,243--256」に出版された.これをp進付値ではかるにはまずp進楕円関数の定義をしなくてはならない.さらに楕円対数関数のp進版も定義しなくてはならない.これらの定義を行い、係数の評価を行ってp進楕円対数一次形式の下からの評価を計算し、その定数項迄求めた結果を、2009年の3月のパリHenri Poincare研究所の研究集会のオープニング基調講演にて発表した.評価を表す数のうちの楕円曲線の高さに関する部分を、楕円曲線の定義方程式の係数の高さにするのではなく、楕円曲線のj-invariantの高さにしておけば、楕円曲線の定義方程式の取り方によらずに同型なものを全て同じ数で扱えることに気づいて、現在その項を修正して計算している.また、上記の研究での方法を超幾何級数の値に対するディオファントス近似に応用し,M.Huttnerとの共同研究論文として結実した.
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Research Products
(8 results)