2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19540056
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
上野 喜三雄 Waseda University, 理工学術院, 教授 (70160190)
|
Keywords | 多重対数関数 / 多重ゼータ値 / KZ方程式 / ドリンフェルト・アソシエータ |
Research Abstract |
本年度は.当該研究の課題である「多重対数関数と多重ゼータ値」について大きな進展があった.すなわち,2変数(形式的)KZ方程式に対して以下の主張を示すことができた. (1)その基本解の分解定理(二通りの方法で,1変数形式的KZ方程式の基本解の積に分解できる)を示した. (2)それぞれの分解が,基本解の反復積分表示における積分路の分解に対応することを示した. (3)複素射影直線の5点配置空間のモジュライ空間に対する,無限小組紐リー環の普遍展開環U(X)と,対数微分形式による被約バー構成Bの双対性を示し,(2)における積分路の分解に対応する代数の分解定理を示した (4)基本解の分解の反復積分表示を,U(X)の分解に即して二通りの方法で展開することができる.その展開係数はhyperlogarithm(超対数関数,あるいは,一般化対数関数)で表すことができる. (5)二通りの分解を比較することで, hyperlogarithmの間の関数等式が得られる.これを「一般化された調和積関係式」と呼ぶ. (6)「一般化された調和積関係式」の特別な場合として,多重対数関数の調和積が得らる.それを特殊化すれば,多重ゼータ値の調和積になる。 これらの成果は,2009/02/03〜02/06京大数理研短期共同研究「微分方程式のモノドロミーをめぐる諸問題」において『2変数KZ方程式の接続問題と多重対数関数の調和積』として発表し,また,日本数学会2009年年会(東大数理)無限可積分系セッションで『2変数形式的KZ方程式と多重対数関数の調和積』として発表した.
|
Research Products
(2 results)