Research Abstract |
本年度は研究計画の最終年度であり,4名の連携研究者とともにこれまで行ってきた研究を整理してまとめ,発表する機会を積極的に捉えた.また得られた理論的な成果に基づき,計算機による実例計算を著しく進めた. 3次生成的多項式を用い,Hesseの楕円曲線族の2,3,6次の(代数曲線としての)捻りを系統的に構成し,相互関係を示し,Diophantus幾何学的な成果を含めて発表した. 生成的多項式の「同型問題」,「部分体問題」,「共有体決定問題」と進化させた一般Tschirnhaus変換と相対終結式を用いた枠組みを「特殊化」によって活用する手法を確定し,生成的多項式に基づく代数的数体の統制と分類に対する手法を明示した.特にn次対称群(2≦n≦5)の可解部分群全般に対する生成的多項式について明示的な回答を与えた.4次と5次の基本的な結果もarXiv[math.NT]に提示した. 特に3次の場合の応用として2次体の類数問題への新基軸にそった研究を進め,さらに5次の場合にも同様な展開を示した. さらに3次生成的多項式について,パラメータを有理整数とした場合の同型問題と,3次Thue方程式の新しい形の族との緊密な対応を確定し,有限性を含む新結果を得た,加えて4次巡回生成多項式についても,3次巡回生成多項式の場合と形式的に類似した現象を発見した. また8次の特殊な場合のNoether問題にも成果を上げ,有理数体上には8次巡回群に対する生成的多項式が存在しないことを克服するために踏み込んだ分析を果たした. 研究成果の発表については,4名の連携研究者によるものを合わせ,5種類の国際的な研究集会での6件に加え,日本数学会等の国内での研究集会で7件の口頭発表を行い,論文10編の公刊が決定している.
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